<解団式>99.9.9 ホテル日航 会見

JICA地域部準備室副室長 松浦正三
 従来から派遣しているが、自治体、地域の皆さんがお役に立てるとこんな早い段階で派遣できた。これまでは国からだったが、阪神大震災の経験者を派遣すると言うことで支援の表明をした。現地の状況が大変な中で活躍してもらった。県市の協力で実現できたことに改めてお礼。今後も皆さんのアドバイスをいただきつつ、支援していきたい。今回だけで終わりと言うことはない。県、市のノウハウを得ながら続けていきたい。とりあえず休んでいただき、改めておじゃましてどうしましょうかと言うことになると思いますが、よろしくお願いします。

井戸敏三・兵庫県副知事
 ご苦労様でした。震災で内外から支援を受けた。その中で行政に携わった皆さんが身をもって体験したことを現地でアドバイスできないかと、JICA主催で参加した。被災直後だけに2週間は短期間だが、現地では長かったのでは。重大な役割を果たされたので疲れた様子が見えないので安心。報告会が終わってと単に疲れが出るのではと思うが気を付けて欲しい。緊急対策、復旧、復興対策とステージがある。緊急的な対策とその後の復旧、復興への歩みにわれわれの体験が現地で活かされるのを願っている。セミナーの概略をみるかぎりでも、体験していないとアドバイスできないような内容。ぜひトルコでの復興に生きるようと思う。県市通じてこの様な被災直後の支援ができたこと、県民の期待に答えることができたのではないかと思う。シナリオを書いてその通り進めるのは難しい。だからこそ、経験に照らしてぜひ支援できれば幸いだと思う。義捐金でも県民のご理解を得て少しでも多く集まればと思う。これから、的確な、貴重なアドバイスを続けて欲しい。

井川一男・神戸市市民局市民安全推進室長
 被災地の厳しい中で、災対本部や被災者に直接会っての情報収集、2回のセミナーで震災の教訓を発表され、レポートにまとめられた。現地での行動は、日本のメディアで逐次報道され、市民が関心を持っている。トルコの被災者支援の輪を広げている。震災の教訓をトルコに伝える今回の訪問は、十分神戸市民にいただいた世界各国の支援への恩返しができたのではと考えている。皆さんの調査助言が役立っていくと思う。

中村孝・外務省官房総務課大阪分室長
 現地でセミナーなどを開き、冬を迎えるに当たった仮設住宅の提案我が国政府にとって非常に有意義なことだ。
 
佐々木直義・団長(JICA神奈川国際水産研修センター所長)
 今回、ミッションの性格が難しい性格で、ここで結団式をしたときにこの台所帯を直後のトルコでどういうことをやればいいかが課題だった。現地で一番うれしかったのは、私たちがどういうことができるか分かる前に、これだけのチームを率いて駆けつけたと言うことでトルコの人たちが助言する以前に日本が来てくれた、兵庫と神戸のチームが来てくれたことに感謝してくれたことがうれしかった。
 現地で、兵庫・神戸の教訓を伝えると言うことが、じっくり聞いてもらうことが非常に難しいこと。中長期的な取り組みへの助言だが、もう少し落ち着いた状況の中でゆっくり話を聞けるかと思ったが、現場で復旧に当たっている関係者に時間をとらせることが難しい。そこが苦労したところ。
 幸いに、JICAが得意にしているが、セミナーを開いたりというのは、この時期いいのではと。12日目に余震が起き、向こうの方との会議を予定して、現場に近いところまで行ったが、みんなが現場にいってしまた。さらに建物の倒壊したりしたらミッションインポッシブルだなとも思ったが、セミナーは開いて欲しいと向こう側から言われた。セミナーは行く前から用意していないし、団員も「えっセミナーをやるの」という感じだった。県と市の経験をひとつの総意にまとめ上げられないので、県市べつべつに語ってもらった。200人以上の人が集まってくれたが、十分に通じなかったかなという感じが残った。
 でも、そこで3時間半をやり抜いたことが勇気を与え、次にアンカラでやるときはとまとまってきた。現地の事情を見ながら、大きく成長した感じがした。アンカラで、大きなアドバイスは、EDMの牧・林の両先生。先生がいなかったら、兵庫、神戸が一つに溶け合って、入り乱れて発表していくことができなかった。これは見事としか言うことはない。国内なら、少なくとも3回ぐらいはの検討会とかやってできるようなことを週末だけでまとまった。
 これが大盛況で、予想を上回る数の方が来てくれた。地震国トルコの関心が高いことを十分に感じた。中長期的な取り組みの中で、どんなことをしていけばいいか。松浦からも話があったが。心配なのは、兵庫・神戸の方にハードワークをさせたのでJICAの仕事はいやだと思われることだが(笑)。非常に大きな一歩。今後の協力への可能性を示したと思う。まとめも非常に難しかったが、大きな悲劇ではあるが、新しいもの、良いものを創り出すチャンスでもあると、復興に向けてトルコが不足している防災教育とか、心のケアとかもJICAのチームなどを使って考えていけばいいのではと思う。今回の兵庫・神戸の組曲をやってきた。トルコにはトルコ行進曲があるが、新トルコ行進曲を作ることではないか。このチームにトルコの人を入れてオーケストラを演奏できれば。

小原健男・兵庫県震災復興本部総括部参事・震災記念協会常務理事
 感じたことをお話しします。県と市の11人。JICAスタッフとともに、牧・林の支援を受け、この時点でできる限りの支援・アドバイスできたのではと自負している。公務員なども、よく時間を割いてあってくれたなと思う。現地の人に感謝している。成果そのものはまとめて、正式のものをトルコ側に渡したい。今後、第2,第3の日本の支援の単著になれば幸いと考えている。外務省、大使館、県市、団長、JICAスタッフに感謝したい。

岩崎靖・神戸市建設局公園砂防部管理課管理係長
 神戸市5人、一生懸命やった。なにが成果かというと、具体的には言いにくいが、取るこの人が我々が言ったことで何かを感じてもらえれば。トルコはまだまだ大変な時期。雨期を迎える。解団式だが、これからずっと続いていくのでは。あのときのことを考えると、これから一番しんどい正念場を迎える。神戸市に帰ってこれを発信する中で、啓発していきたい。情報発信をトルコにお願いしてきたが、我々も発信していきたい。


<記者会見>
−阪神の時と共通しているところ、異なっているところを?

小原
 共通しているというと、人々の考え方、悲しみは阪神トルコとではなく、一瞬に失った悲しみは国とかは関係ない。違うのは、物理的な話になるが、地震の原因、地域、建物構造が違うので、同じ建物が壊れても壊れ方、被災の仕方、なくなり方が違った、

岩崎
 亡くなられた方、トルコでは親族のつながり強く、より悲しみ強い。阪神では公共の避難所があり、そこに避難できたが、トルコは災救法とかがなく、避難施設がなくテント生活になっている。ほとんどがテント生活で、トルコが抱えている大きな問題

佐々木団長
 違う点として、今後の防災教育、体制にトルコは地震国でありながら日常的な地震に対する備えが十分ではない。そういう意味で地震は避けられないのだから、少しでも被害を減らすような訓練、教育体制を作るべきではと思う。その点はJICAが考えていく分野ではと思う。

−県と市の連携は? 震災でできなかったことを何が提言できたか?

佐々木団長
 県と市、自治体としての関わり、調査団に行くまでよく知らなかった。ずいぶん勉強した。JICAは日本の経験技術を活かして国際協力の仕事をする。日本が特色のある県市の予算、住民への取り組みの仕方、国との関係、私たちが地方自治体と協力していく上でいい経験、教訓、われわれが努力すべきところに気づいた。大きな経験を、海外のケースに伝えると言うことは、向こうの自治体の郡・市、日本の自治体の違いを経験として利用し、外に当てはめてものを考える材料にしていければとおもう。

川久道隆・兵庫県生活衛生課補佐
 県市の問題、県は住宅対策など政策的なことが多かったが、市は現場に密着した中身が多かった。1回目のセミナーは、最初なので使途県がやったことの発表の仕方をしたが、我々は助言と言っても、相手になかなか伝わったかというところがあった。その経験を元に、互いの仕事の中身をすりあわせながら、緊急なこと=衛生、食糧、物資、生活支援=避難所運営、ボランティアなどのグループ、3つ目は都市再建=仮設、がれき、都市計画とわけ、まとまった発表になった。やれなかったこと? 中長期的なことと思っていたが、短期的なことにこれから1カ月先、2カ月先の質問多かった。我々実際に経験した1,2カ月先にどうしたというディスカッションしながらミーティング的な分科会をした。せっぱ詰まった議論。やれなかったことというのは、これだとは言えない。

林芳宏・神戸市市民局安全企画課推進係長
 連携は苦労したのは事実。団として、被災者に向き合ったときに協力して対応するために、ミッションで協力できたのは良かった。震災の時に、なかなか先を見通して対応ができなかった。被災者支援で後手後手に回った。今回、ある程度取るこの方もこれまでの経験もあったし、こちらからも経験を伝えられた。今回も自立に向けての支援を提言したが、やる前から解消に向けての対策を考えての支援などは難しいが、向こうにも考えてもらって、具体的にもやられているのはびっくりした。とでもボランティアは認知されていなかったが、小さな芽は出ている。ぜひ育てて行ければと提言した。これは新たなこと。

佐々木団長
 調査報告書をベースに、国内で検討委員会を作ってさらにこの助言や他に集めた知見を含めて、専門家に集まってもらってほんとうにトルコに提出できるものにしたい。10月に林さんがトルコに行かれると言うこともあり、ドラフトを作り、年内にトルコ政府に提言したい。

佐々木団長
 一つ目は仮設の供与、向こうからも緊急課題だった。既に500戸供与は決定しているが、調査結果では気候風土が取ること日本でかなり違う。生活習慣も違う。それを考慮した早急な取り組みをしないと。10月15日を過ぎると冬の季節になる。トルコは仮設を自分で作るという計画もある。現地で調達することも可能であると思う。ここはもう少し詳しく調査が必要かと思うが。追加的な供与は現地調達も含めた慎重な取り組みが必要だ。
 3番目は、情報が錯綜している。救援物資やボランティアを必要としているのがどこでどのぐらいかは分からない。無駄や重複がある。兵庫・神戸と同じ。物資を送るにしても不必要なものを処理するのに越すとがいる。非常に注意が必要だ。古着は日本でも出された方の善意はあるにしろ、被災者が使えない。ましてトルコの国で日本の古着は使えない。送ることは相手の国の事情を調べて不必要なものは送らないようにするのが大切。情報のきちっとしたシステム、ニーズに基づく情報を提供していく体制を作る必要がある。
 4番目は、日常的な災害に対する準備、防災体制については、日本と比べると十分ではない。学校でも心のケアとか子どもたちの精神的なダメージに対しての現場の先生へのアドバイスが必要とされている。ケア、あんぜんにたいする分野が大切。
 5番目は、クリエイティブコンストラクション(創造的復興?)。県・市の復興の大きなテーマ。新しく良いものを創り出すチャンスというとらえ方で、長期的に自然災害に強い、安全な環境を確保することを支援していく。日本とトルコの協力関係を強固にしていくために必要。

小原
 向こうで状況は阪神を上回る被害だった。まだ行方不明も多い。考えられるのは、遺児や孤児がたくさんでてくるのが心配。阪神でも300人弱でたが、500人をくだらないと考えられる。これが重要な課題。いまちょうど、県10市10町の義捐金を維持の育英資金にするようなフェニックス基金というような子どもたちの支援ができればありがたいと募集委員会にお願いしたい。10市10町の思いが届き、将来的な精神的な復興につながって行ければと考えている。

岩崎
 家の近くにテントを張っている。日本で使うようなものではなく、透明のビニールを張っているようなもの。行政としても全体の把握ができない。物資も行き渡らない。なかなかテント村にも入ってくれないという。自分の家のそばから離れられないという。異質な問題だ。

川久
 衛生的な面で違いがあった。保健省のドクターと話をすると、空き地で個々にたてているが、何とかまとめて冬が越せるようなテントを。テントでの活動がなきにしもあらずと思う。2カ月先には難しいだろう。衛生上のランクを上げるためにもライフラインが早急に設置しないと、飲料水、衣食住の風呂の問題、仮設トイレの問題、クリニックをテント村に早急に配置しないと。


 テント生活者は、冬が来るまでに寒さ対策を何とか。仮設など暖かい住宅の提供をと。テント生活者に情報が入らず、拠点を設けて被災者ニーズをつかめたらいいが。個別に意見を言ったりしているだけ。ニーズが全体として上がらないのが問題。

小原
 もともと自治会とかコミュニティーのリーダーとかの土壌がない。テント村で何千人に行政万が1人とかになる。管理できない状態となる。日本の土壌と違う。

川久
 トルコ政府は緊急医療はちゃんとやっていた。行政機能はしっかりしている。課題があることは動いてはいるが。

柏野繁樹・兵庫県生活創造課主幹
 イズミットではイスタンブールからボランティアの医療チームが来ていた。

中杉隆夫・兵庫県教委高校教育改革室主幹
 実際、学校を訪問した中で、心のケアの関心が高かった。9月13日に新学期をと、親も子供をどう熱かったらいいか、先生方がどのような対応をしたらいいか悩んでいた。震災の時に心のケアの大変さを臨床心理士の方とかに教えてもらいながらやってきたが、ごてごてにならないようにやったらと。学識者や学校の先生にも関心が高い。早い時期に専門家が行かれて、向こうの教員がカウンセリングマインドの向上ができれば。日常からの安全対策、余震もあるし、避難訓練も行われていない。余震があったときにどうすればいいか。安全マニュアルなどをおくって欲しいと言われている。

小原
 アンカラのセミナーでは、すべてのセッションが盛り上がった。最後まで政府の方が残って議論した。日本では未経験のこと。あらゆるところに興味があったと思う。

富岡敏典・県まちづくり部総務課主幹
 今の緊急避難から、今後、仮住まいになる。阪神の場合は、その場その場でノウハウを作ってきた。トルコで仮設は一定の数を作ればいいという発想があり、そうでなく、一定期間日常生活をする場であると申しあげた。建物の安全に対してどうなのか。被害の面で安全性はどうかに関心が高かった。安全なまちづくり、建物作りに最大限ノウハウや情報、建築を取り巻く環境への支援が大事ではと思う。

加藤利明・神戸市財政部経理課工場契約係長
 がれきの処理はイズミットでもほとんど進捗していない。政府の方針が明確になっていないと言われ、国が積極的に進め、2次災害が出そうなものの解体などの順位を提言した。

尾崎敏之・神戸市産業廃棄物指導課主査
 がれきが好き勝手に処分され、海に棄てられて問題になっている。仮置き場で集積するように。コンクリートも再利用ができると提言した。

佐々木
 トルコにはJICAの52番目の事務所を開いた。トルコは自立心も高く、技術力もある。私たちの取り組みが、災害の支援をいつの時点で終わり、彼らの自立に向けた取り組みをどうするかが大切。トルコで作ることができるものを遠くからコストをかけて送ることはトルコにとって負担になる。それは避けるべきだと思う。日本の良きパートナーとして知恵を絞っていくことが大切だと思う。


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