InterCnet シンポジウム
日時:1998/07/04(土)13時半〜16時半
場所:神戸市教育会館501号室

干川剛史 レジュメ

情報ボランティアって何?


ボランティア団体リスト

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1:阪神淡路大震災直後に何をしたか、震災をきっかけにその後は何をしてきたか この部分は、震災から1年程度のまだ熱かった時期を振り返って整理して下さい。

 震災直後は、コンピューターネットワーク(主にNIFTY-Serve)上を流れるボランティアの救援活動についての情報を収集し、被災地内外でのボランティアの動きを把握しようとした。

 そして、徳島に一番近い被災地である淡路島に関する情報がコンピューターネットワーク上にほとんど流れてい ないことに気づき、震災発生後約1ヶ月経ってから、淡路島の被災地に入り、現地におけるボランティアの救援活 動の実態を把握し、慶応義塾大学SFCの金子郁容教授から機材や人員の提供を受けながら、一宮町と北淡町のボランティアの活動拠点に情報発信拠点を設置し、3月から4月上旬まで、SFCの学生ボランティアに手伝っても らって現地の救援活動の状況をコンピューターネットワーク(インターVネット)を通じて情報発信をしていた。

 さらに、4月下旬に結成された(Inter C netの前身である)「インターVネットユーザー協議会」で約半年にわ たってメーリングリストを通じてメンバーの間で議論を行い、震災での情報ボランティアの活動経験をまとめ、今 後の情報ボランティアの活動のあり方を示した「提言」づくりに携わった。


1:現在の活動(お手伝い)の内容と、そこでの課題と解決の方向性は ここは、課題と解決策に重点を置いて書いて下さい。


 現在、Inter C netのメンバーとして、主に阪神地域で開催される災害時の情報通信や災害救援に関するシンポジ ウムや研究会などに参加し、災害時の情報流通のキーパーソンとなりうる人たちのネットワークづくりに取り組ん でいる。重油災害の時は調査研究が主だったが、立ち上がったホームページなどを見るなどしていた。

 他方で、淡路島の洲本市「ボランティア情報団」のお手伝いをしている。ボランティア情報団は、発足後1年半 が経過し、世話人の方たちと洲本市企画部情報課の方々の尽力で運営体制ができ上がりつつある。

 しかし、災害時に迅速かつ効果的な形で災害対応・救援に必要な情報を収集し、洲本市の災害対策本部と連携しな がら情報流通を行うことができるようになるためには、実践的な災害対応マニュアルづくりやそれに基づく効果的 な研修や訓練の体制づくりなど、まだまだ、手付かずの課題が山積みとなっている。

 そこで、私は、昨年7月から毎月開催されているパソコン講習会でパソコンやコンピューターネットワークの操 作についての技術指導のお手伝いをしながら、ボランティア情報団が、どのようにして洲本市と連携しながら、災 害時に効果的な情報流通活動を行うことができるのかについて、世話人の方たちと話し合いをしている。

1:自分が考える情報ボランティアとは
(それぞれ、考え方、とらえ方が異なると思います。情報Vは何をするか、情報Vの必要なスキルは、などなど )。

 「情報ボランティア」は、阪神・淡路大震災で救援活動を情報流通面で支援するボランティアを示す言葉として 登場した経緯がある。したがって、狭い意味での情報ボランティアとは、災害時に救援活動に必要な情報を収集 し、それを必要とするところにインターネットなどの情報通信手段を使用して迅速かつ正確に伝達する活動を行う ボランティアのことである。

 他方で、より広い意味での情報ボランティアは、地域づくりや障害者・高齢者の社会参加の支援、学校での情報 教育への協力、ボランティア団体の情報化支援など、より多くの人々や団体がパソコンやインターネットを利用し て情報流通を行うのに必要な技術や、「情報の検索・収集、編集・加工、伝達技術」としての「情報リテラシー」 を習得できるようにお手伝いするボランティアを意味する。

 そこで、情報ボランティアに必要とされるのは、平常時においては、一人でも多くの人がインターネットを利活 用できるように支援する「情報教育ボランティア」としての技術的ノウハウ・指導力と、災害時には、こうした活 動を通じてつくりあげてきた人的ネットワークを通じて、救援活動に必要な情報を収集し、その情報を必要とする ところに的確に届けることができる「災害救援情報流通ボランティア」としての能力である。

1:情報ボランティアは社会でどんな役割を果たすか、情報Vが活動する社会はどんな社会になるのか(上のテー マの連続になりますが、果たす役割にとどまらず、情報Vがいることで社会がどう変わるか、変わって欲しいか。 多少夢のような話でもいいと思いますが、展望して下さい)。

 情報ボランティアは、より多くの人々が、社会生活を営む上で必要とする情報を、年齢・性別、障害の有無、居 住地域や経済力の違いに関わりなく、入手し適切な形でやりとりできるように、営利を直接的な目的とせずに支援 する社会的役割を果たしている。

 つまり、情報ボランティアは、情報流通面で生じる社会的な不平等を解消していくことで、誰でもが自由に自分 の意見をより多くの人々に対して表明し、共通の関心や目標をもつ人々同士が情報や意見を交換し人的ネットワー クをつくり上げながら共通の課題に取り組んでいく社会的領域としての「公共圏」を支えていく社会的役割を果た しているのである。

 このような(情報ボランティアの活動に支えられた)公共圏における人々の自由な情報流通を媒介とした自発的 な活動は、環境、福祉、災害など様々な今日の社会問題の所在を明らかにし、問題解決のための方策を示し、より 多くの人々の賛同と参加を得ながら問題に取り組んでいくことで、社会全体をつくり変えていく力をもつようにな
るであろう。

干川剛史 徳島大学総合科学部

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